カナダ便り(第1回)

バンクーバーは周辺都市を併せた大都市圏の人口が200万人を越え、カナダ西部最大、カナダ全体でもトロント、モントリオールに次いで第3の都市です。

大都市でありながら、人々の生活と自然が調和をとりながら共存できているのがバンクーバー市民の自慢でもあります。

今回はバンクーバーの秋から冬にかけての市民の楽しみ、バードウォッチングについてお話しします。9月下旬くらいからカナダの内陸部や北の地域で繁殖していた水鳥類、猛禽類がバンクーバーに戻りはじめます。11月にはいるとカナダ太平洋岸の温暖な地域を除く他の地域では河川、湖が氷結をしはじめ、エサが獲れなくなるのでさらに多くのトリたちがフレーザー川河口の湿地帯を中心に越冬にやってくるのです。

バンクーバーの北には2010 年の冬季オリンピックの競技会場となるウィスラーがありますが、その途中にBRACKENDALEという町があるのは日本の人にはあまり知られていません。

12月初旬から1月下旬にかけて他ではエサが獲れないためハクトウワシ(白頭鷲)がSQUAMISH川を中心に集結します。ここはバンクーバーの周辺でも最も遅く(11月中旬から12月初旬にかけて)シロザケ(CHUM SALMON) が産卵のために遡上してくるところで、ハクトウワシは産卵を終えて死んだサケを餌にしているのです。150人のボランティアによって行われた1994年1月の調査では3,769羽のハクトウワシが観察され10年前のアラスカ チルカット川の記録を破り、一ヶ所で見られたハクトウワシの数の世界記録を塗り替えました。

さらにバンクーバーのダウンタウンから約45分南のWESTHAM ISLANDにはライフェル水鳥保護区があり、ここでは11月から3月の間、約100種類のトリが観察できます。

アメリカキンメフクロウ、アメリカフクロウ、メンフクロウ、トラフズク、アメリカワシミミズク、コミミズクなど6種類のフクロウ、他にアカオノスリ、ケアシノスリ、ハイイロチュウヒ、アシボソハイタカ、クーパーハイタカ、オオタカ、ハヤブサ、ハクトウワシなどの猛禽類がほぼ常時見られます。

変わったところではカナダヅルのペアーが管理人のJOHN IRELANDさんの庭に住みつき訪れる人を歓迎してくれます。

でもなんといってもここの自慢は毎年2万5千羽から3万羽を越える群れで越冬にやってくるハクガン(SNOW GEESE)です。この保護区は冬のハクガンのエサになるようジャガイモの一部を収穫しないで残してもらうよう周辺の農家と契約を結んでいます。

ジャガイモ畑で採餌する1万羽を越えるハクガンの群れはその名のとおりまるで雪が積もったように見えます。 このハクガンがいっせいに飛び立つとそれは壮観です。これをきっかけにバードウォッチングをはじめる人がいるほどですが、その鳴き声のすさまじさで隣の人が大声で話しかけても、全然聞こえず会話が出来なくなります。

前述のスタンレーパークでは道路の開通とともに海から切り離されて出来た汽水瑚のロストラグーンでカナダガン、オナガガモ、ズズガモ、コスズガモ、アメリカオシ、オオホシハジロ、アメリガオオバン、ハシビロガモ、ヒメハジロ、クビワキンクロなどが、遊歩道から見られる海にはホオジロガモ、キタホオジロガモ、アラナミキンクロ、アメリカヒドリ、ハシグロアビ、ミミカイツブリ、ヒメウ、ミミヒメウ、クロミヤコドリなどが観られます。

小鳥類もウタスズメ、ゴマフスズメ、アメリカコガラ、クリイロコガラ、ヤブガラ、キバシリ、ムネアカゴジュウカラ、アメリカキクイタダキ、ルビーキクイタダキ、ユキヒメドリなどがやってきます。 アメリカコガラやクリイロコガラはピーナッツやヒマワリのタネを人の手から食べるほど人慣れしています。公園内を歩くとエサをねだるこの2種類のコガラがずっと散歩についてくるほどです。

今回は生きものと人との距離が近いバンクーバーの素晴らしさを紹介しましたが、以後もこの街の素晴らしさをお伝えする予定です。

(幹事 川端 雅章)

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